だれがぼくの名を
で、取り敢えずトーマの心臓を買った。中学ぶりか。ああオスカーいいよオスカー……
誰も愛していないと心を閉ざして、でもそれでは生きてはいけないのだということを、私にもまた、その愛で教えてくれた人が居る。赦されるだろうか。同じように。心を閉ざそうとしてみても、何を言ってみても、結局のところ、私は、そのひとが居ないと生きていけない。それはこわい。とてつもなくこわい。もしもかれをなくしたとしたら私は凡てを失ってしまう。けれどそれでも傍に居たいのだと思って、さまざまなことを思い出して、泣きながらページをめくった。
- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/08/01
- メディア: 文庫
- 購入: 21人 クリック: 237回
- この商品を含むブログ (222件) を見る