外苑へとゆく日比谷駅の通路には誰も居なかった。地上より流れ込む空気は秋の匂というよりは寧ろ春の誘惑に近い。色づき始めた葉の香に沿って歩く足音は無意識の呼吸音と調和し、この地上の微弱なる胎流となる。 ゆったりと眠り或は柔らかなパンを齧る様を見…
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