降りた駅は海岸へ向かう人の群で溢れかえり、私は庇の下でじっと迎えが来るのを待っていた。山を切り開いて潮の満ちたような、背の低い風の強い町で、夕餉の買い物をし、ひんやりと安らかな広い家に眠った。花の咲いて、坂をじりじりと上り、疲れ切って吐く息を受けて白いヨットは浮かぶ。疲弊した手を握って、黒髪に安寧を思い、透き通る水にはあをの匂が満ちる。